青函トンネルへ行ってみる


暑い...腹減った...疲れた...真夏の太陽が容赦なく照りつける中、ブツブツ文句を垂れながらも、シオンは、彼は生まれ育った港町の外れにある海底洞窟へと歩いていた。昨日16歳の誕生日を迎えた彼は、国王からある任務を命じられたのであった。数年前から邪悪な魔物の巣窟と化してしまった海底洞窟の魔物を一掃し、そして最深部に眠っている魔法石なるものを持って帰れと...

という世界とはまったく無縁の、ある暑い夏の日。このページが自動的にアップされる7月29日の深夜4時、ある冴えない会社員(横浜市内在住)同じように文句を垂れながら歩いていることだろう。桜木町から北北東へ、JR横浜駅を目指し深夜の国道16号を歩くのだ。って、文頭の出来損ないファンタジー小説もどきには何の意味もない...ありがちなクソゲーRPGのような才能の無さ、恥ずかしいばかりである(じゃ人が見るところに書くなって)。


青森へ行くざます編

そもそも、なぜ深夜の国道を歩く羽目になったかと言うと。別に深い理由なんてないのだが、一応説明しよう。それはある日のこと、丸一日鈍行に乗ればどこまで行けるのかが知りたくなり、桜木町の始発から時刻表を辿ってみた。すると、東北本線では八戸あたりまで行けることが判明。しかし、それでも八戸。なんという中途半端さだ。男ならせめて終点の青森までは行きたい。いや、是が非でも青森まで行ってやる! そうして意地になり時刻表と睨めっこしたところ、横浜駅からならなんとか青森まで行けることがわかった。

しかし、そんな重大事実(どこがやねん)を机上の理論で終わらせるようでは、いつまでたっても彼女ができないだろう(むしろ逆とちゃうか?)。しかし、計画を遂行するには、横浜駅から上りのながらに乗らなければならない。ながらが横浜駅を出るのは、午前4時16分。それまでに横浜駅へ行かなければならないのだが、最寄り駅であるところの桜木町の始発は、4時19分だ。青春18きっぷ+深夜割増なタクシーというのも齟齬ありまくりって感じだし、ここは貧乏旅行らしく歩くことにしたというわけ。

出発駅出発時刻行先到着駅到着時刻備考
横浜04:16東京東京04:42ムーンライトながら
東京04:44山手線内回り上野04:51
上野05:10黒磯黒磯07:45
黒磯07:49富野福島10:08
福島10:38仙台仙台11:56
仙台12:40一ノ関一ノ関14:19
一ノ関15:00盛岡盛岡16:31
盛岡16:50青森青森20:35

というわけで、ご覧のような強行軍を実行すると青森まで行けるのだ。徒歩で横浜駅に4時過ぎに着くには、家を3時半には出ないと間に合わない。でも3時半というのはここのところ床に就いている時刻なので、必然的に徹夜で行く。途中の電車で寝られないこともないだろうが、ちょっと辛いな。青森でお宿の部屋が空いてれば良いのだが...

青森まで行けば、北海道はすぐそこだ。明日は海底洞窟の魔物退治をしに行くの...ではなくて、もとよりあの有名な青函トンネルを遠征するのだ(もちろん魔物はいないと思います。念のため)。

7月29日午前4時(自動更新)



ということで、横浜駅に到着した。MM21線(新しい地下鉄)の工事だが、まだこの時間だと行われている。工事は主に深夜に行われているようだが、東海道線を止めるわけには行かないだろうし、けっこう大変らしい。駅を機能させたまま、その下に地下駅を作るというのだから...この時刻だと、改札口に駅員はいないのだ。出入り自由というのもなかなかよろしいものだ。

ムーンライトながらの上りだが、このように普通列車の始発のかなり前に東京へいけるので、便利といえば便利。



7月29日午前4時10分



横浜から東京へ、そして上野へときたわたしは、午前5時10分に東北本線黒磯行きに乗り込んだ。昨晩は寝ていなかったので眠たくてすぐに寝てしまって...目が覚めたのは埼玉県の久喜辺り。東北方面へと向かう下りは相変わらずガラガラだが、朝はまだ6時になるかならないかという時刻なのに、東京方面へ向かう上り列車はサラリーマン風の方々で込み合っていた。久喜から東京まで通うとなるとけっこう遠いと思うが、通勤圏なのだろうか。ご苦労様。

午前7時45分、黒磯到着。本当に田舎である。田舎の電車というのは学生とババァぐらいしか乗っていないのが相場だが、時間的にちょうど高校生が乗ってくる頃。で、白川辺りでたくさん乗ってきた>女子高生。都会の女子高生はケバいのが多くて嫌いなのだが、それと比べると、田舎の女子高生はおだやかなタイプが多い。いま近くにも可愛いのが約一名いるのだが...激しく訛ってるよ(笑) 実をいうと東北方面へ来るのは今回が始めてなので、この方言のショックがでかいかも。

ここら辺、比較的美人な女性が多いですね(って、そんなことばっかりかい。

7月29日午前8時30分(午前10時15分福島駅より転送)





というわけで、お昼ごろには仙台。鈍行でもお昼には仙台まで行けてしまうのだ(笑) が、この辺で流石に嫌気が差してきているわたし。青森着20時35分でしょ、まだまだある...電車の座席というのは、長時間座ってると腰が痛くなるのでありまして。

12時25分仙台駅より転送



現在、一ノ関...ここら辺までくると、横浜より大分涼しい。あー、まだまだ先は長いという感じだ。田舎、とりわけ寒くて豪雪地帯といわれるところで列車に乗ると、都会人の見慣れないものがある。



見てのとおり、乗降口を手動で開閉するためのスイッチだ。吹雪いているときなんかにドアを開けっ放しにしておくと、寒くて仕方がない(暑いときも同様)。そのため、乗客は手動でドアの開閉を行うというわけだ。慣れていればなんてことはないのだが、これの使い方が分からない奴や、開けても閉めないマナーの悪い奴がいると、地元の人間は「あ、都会人」と判断するらしい。特に列車が駅に到着してもドアが自動で開かずに途方に暮れている奴がいると、それは実に明らか。

14時45分一ノ関駅より転送



というわけで、やっと青森までやってきた。



で、東北本線を走ってる電車の写真も。



こいつだが、701系というものなのか? 東北本線の(多分)黒磯以遠は、交流22KVが架線に流れていたと記憶している(近郊線は直流1500Vが多い)。701系というのは交流用の車両なのだが、普通は直流なところしか乗らないので、わたしはあまり良く知らない。こいつ、始動時はいかにもVVVFって感じの音がするのだが、ぶっ飛ばすと気動車みたいにうるさい。国鉄やJRの車両って「唸る」やつが多いが、多くの私鉄がやっているような消音設計という概念が著しく欠落している気がする。

7月30日午前8時10分、青森より転送



つづく