あなたもできる、草の根BBS開設!
草の根BBSは個人でもできる、手頃なネットワークサービス。金、暇、それと少々の知識があれば誰にでも始められる。だが、実際の運営にはそれなりのノウハウも必要だ。だから、BBSを開設しようと計画している方に、私がBBSを運営していて培ったノウハウを分けてみたいと思うのだ。
なお、内容はある程度の事を理解している方を対象にしているので、細かい用語の解説は行ってない。その辺はホストプログラムのマニュアルなどを参考にすると良いと思う。
基本計画編:
まずは、大まかな計画をきちんと立てたほうが良いと思う。
- 予算はいくらぐらいか
- どれぐらいの規模で開局するのか
- どのような環境で運営するのか
- どういう話題を扱うBBSにしたいのか
- 運営管理はどのような体系で行うのか
こういう方針はちゃんと考えないと、後々が大変になるかもしれない。規模は無理をすると、維持管理が大変になるだけ。最初は1、2回線程度が良いと思う。扱う話題を決めるのは、ボード構成などを決める上でも非常に重要だ。運営管理は開局してからの事だから、失敗の取り返しがつきにくい。下手をすると、BBSを潰す事になりかねないのだ。
ハードウェア構築編:
次は、機材や回線調達など、下準備から。拡張RS-232Cの事は後述。
- ホストマシン
- 予定回線分のモデム、ISDNの場合はTA、DSU
- 予定回線分の電話回線
基本的には、上記の3つが基本となる。ホストマシンはBBSの規模や、使用ホストプログラムにもよるが、DOSをベースにして、数回線程度のBBSを始めるならば、時代遅れのパソコンで十分。例えば、青春18ねっとわぁくでは、486dx-33MHzのAT互換機で運営している。
モデムはよく選んで買ったほうが良い。相手どんなモデムを使っているか分からないため、万人のモデムに対応できるものを選ぶ必要がある。何、規格化されてるんじゃないかって? モデムには「相性」という厄介なものがあって、場合によっては他社のモデムとの接続に失敗したり、繋がっても低速度で繋がったりするのだ。また、長時間つけっぱなしにするから、耐久性も重要なファクター。頻繁にハングするようなモデムでは駄目だ。ここで失敗すると、泣く泣くモデム買い替え、なんて事もあり得る。
私のお勧めするモデムはマイクロコアのMC288XL2という機種。いまは33600bpsモデルが売られていると思う。私の所では安定していて、ハングする事も滅多にないし、相性の苦情もほとんどない。青春18ねっとわぁくでは、28800bpsモデルを33600bpsにアップグレードして使っている。
電話回線は、少々高価だ。普通に加入権を買うと、8万近いカネをNTTに払う必要がある。中古回線を買ったり、ツテがある人は知り合いから買うと、安く買える。また、レンタル回線という手もあるが、これは月々の料金が割と高いので、あまりお勧めできない。
いまなら、INS64がお勧めだ。新規に契約すれば、2回線をいっぺんに確保できるし、自宅の回線をINS化して、ダイアルイン契約でBBSに着信させる事も可能。予算的に、回線を新規に買うのが辛い方は、こんな方法もあるのだ。この方法でも、工夫すれば2回線での運営を行う事が可能だ。また、INSは普通のアナログ回線よりも、回線品質が良いという、非常に大きなメリットがある。
INS64を使うためには、モデムのほかにTAとDSUが必要だ。最近はDSUがTAに内臓された機種が安く売られているから、購入も簡単だ。青春18ねっとわぁくで使っているのは、NTT-TE東京のMN128だが、いま買うのならば、NECのものが良いと思う。BBSへのデジタル接続を提供する場合、非同期57600bpsに対応しているのはNEC(またはOEM)製品のみ。NEC以外のTAの非同期接続では、19200bps〜38400bpsが最高だ。V.110は19200bpsまでしか規定されていないので、非同期57600bpsはNECの独自規格だと思われる。また、同期通信は行えないので、64000bps接続は不可能だ。
ソフトウェア構築編:
ハードの仕様が決まったところで、次はホストプログラムを選ぶ。市販のもの、フリーのもの、色々とあるから好みの物を選ぶと良い。私の所では、久喜PCユーザーズクラブ(KPUC) で開発されたKTBBSと言うフリーのソフトを使っているので、これを紹介する。KTBBSはソースが公開されているので、自分のBBSを独自仕様にしたい方には最適。しかし、最初は設定がややこしいかもしれないが、マニュアルをちゃんと読めば、十分理解できる内容だ。KTBBSにはAT版と98版がああるので、自分の環境に合わせて入手する。
KTBBSを使う場合は、RS-232Cドライバが必要だ。RS-232C周りは機種依存性が高いので、RS-232Cドライバは別に提供されている。AT版は、YASS氏作のMCDというドライバを使う。98版は、KPUC及び、もろぼし☆らむ氏作のSETRS7MXというドライバを使うが、AT版同様、もろぼし☆らむ氏作のSETRSMCDを使えば、98版でMCDをドライバとして使う事も可能だ。
KTBBS関連はこちらからダウンロード可能。
もろぼし☆らむ氏のホームページはこちら。
ハードウェア拡張編:
多回線で運営したい場合や、本体内蔵のRS-232Cポートがヘボくて使えないような場合には、拡張RS-232Cボードを用意する必要がある。AT機では本体に標準で2つRS-232Cポートが用意されているので(1ポートなど例外もある)、2ポートの確保は容易だが、それ以上必要な場合は普通の拡張RS-232Cカードを買ってくれば4ポートが確保できる。これはCOMポートとして、COM1〜COM4として扱われる。98の方は扱った事がないので詳しくは書けないが、マイクロコアのMC16550IIなどがあるので、それらを買うと良いはず。
AT機で4ポート以上確保したい場合は、XENIX互換の4回線カードを使う事ができる。このカードは、カード1枚でIRQを1つしか消費しないので、多回線運用時には非常に便利だ。このカード、秋葉原のDOS/Vパラダイスで売られているが、他は知らない。日本橋では売ってないみたいだから、私は別件で東京へ行ったついでに秋葉原で買った。もし日本橋で売っているのを見た人は、教えて!
私がAT機ユーザーだからと言う訳からではなく、RS-232Cをたくさん増設したい場合はAT機の方が有利だと思う。98の場合は拡張カードも高価だし、ややこしいらしい。AT機の4回線カードは、1万円ぐらいで売っている。その気になれば、20ポートぐらいでも拡張可能だ。
モデムにはデータ圧縮機能があるため、モデムの表示速度よりも速いDTE速度を設定する必要がある。例えば、33600bpsのモデムでは、DTE速度は115200bpsが理想的だ。しかし、この速度で、特に多回線運用時には、RS-232CポートのUARTにNS16550A(又は互換)が使われている事が必須条件。8250、8251などが使われている場合は、ハードウェアFIFOが無いので文字落ちが発生しやすい。FIFOの有無は、先述のMCDで確認できるが、参考としてAT互換機は標準でNS16550Aが使用されている場合が多い。古い98機は未対応。
写真集:
実際の接続などは下記の図が参考になればと思う。
大体こんな感じの接続になる。アナログ回線を使う時は、TAとDSUを無視して、モデムは回線に直接繋げる。ホストマシンに書いてある青の数字は、青春18ねっとわぁくで設定しているDTE速度。RS-232Cの拡張カードは、XENIX互換の4回線カードが一枚挿してある。
青春18ねっとわぁくのホスト周辺。これも、参考になればと思う。
真ん中のマシンがホストだ。24時間稼動。
486-33MHz、HDD250MB、MEMORY 4MB で、4チャンネル運営だが、こんなもので十分。
左から、DSU、TA、モデム2個。
TAは NTT-TE東京 MN128、モデムは Micro Core MC288XL2。これが青春18ねっとわぁくお勧めの機種。モデムの事は先に書いた通りだが、TAにもアナログポートの性能の悪いものがあるのでご注意。
TA、モデムの後ろ。
フェライトビーズなんかもつけて、ノイズ対策も一応考慮しているつもり。どれだけの効果があるのかは知らないが、精神衛生上良いので。
TA&モデム冷却ファン。
モデムは熱に弱い。開局したのが夏だったので、モデムを2台殺してしまった。少々暑くても大丈夫、なんて思ってたらとんでもない。夏場はファンが必要だ。また、ホスト自体がハングする事は滅多になく、着信ができなくなるのは、モデムの問題が多い。
日本の住宅事情を考慮した、ノートパソコンのホスト。
これは同じ部屋で運営してる鯱ねっとさんの設備。こちらは、PCMCIAスロットに14400bpsのカードモデムを挿して使っているが、全く問題なし。部屋が狭い方はこんな方法も可能。
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