メロディ蝋燭
アキバのジャンク屋で漁っていたときのこと。ありがちな電子部品詰め合わせ袋に、大いに興味を引く物が入っているのを発見した。高価なものではないものの、ただでさえ寒い財布には大寒波が吹き荒れ、一生使うことは無いであろう不要な電子部品で部屋がより一層狭くなり、またもやアホな買い物をして後ろ指を指されるという数々の弊害を差し引いてもまだ、気になる物は躊躇せず買わなければ、後の人生のみならず末代までもが後悔するものである。
まあ、実はそれほど大袈裟なものでも無かったりするのだが、
これが、ネタにされるべく買ってしまった Musical Candle だ。要するに、火を付けると、メロディが鳴るという蝋燭なのだが、どうして音が鳴るのか、気になるアイテムなのだ。パッケージの雰囲気から推測するに、多分アメリカ辺りで売られているものと思う(ちなみに、Made in Korea)。裏には International Patent Registered とか、やや大層なことが書いてあったりして、やはり気になるアイテムなのだ。
蝋燭自体は何の変哲もないものだが、このように蝋燭の先端には穴が開けられ、そこから金属板が顔を出している。よく見ると蝋燭の端から端まで、穴と金属板は続いているようだ。
さらには、蝋燭を貫通する金属板は、ジョイントで繋がれた蝋燭の土台にまで伸びているようであり、この土台には穴が空いていたりする。この穴からメロディが流れてくるはずなのだが、それがどういう原理で鳴るのか、大いに気になるところである。何せ、凄い特許を取っているらしい。蝋燭が燃えたときに発生する熱やガスで笛を吹いているのか、あの金属板が熱電対になっていて電気を起こしているのか、それとも科学では解明できない魔術で音の鳴るものなのか..どうやら、秘密は土台にあるらしい。
ところがそんな期待とは裏腹に、土台をバラして出てきた物は、ボタン電池にトランジスタと抵抗、それから裏にはモールドのIC。その下には、土台も兼ねて圧電ブザー。そして、蝋燭を貫通している金属板は、この基板にかしめてあるだけで、ボタン電池の+側に抵抗を介して接続されている以外は、特にこれといった仕掛けはない。
細かいまあいいやと、取りあえず火を付けてみる。このようにして、芯とともに金属板も燃えるのだが...
半分ぐらい燃えても、メロディなど一向に鳴らないじゃねえか!
どうやら不良品を掴んでしまったらしい。
ムカつくから、解析して無理にでも鳴らしてやるのだ。
かしめてあった金属板を外すと、このように電極が二つ登場した。この二つの電極が接触するとメロディが鳴り始めるという仕組みであるようだ。ここに繋がっていた金属板に何やら秘密があるのは明らかだが、燃えるとここが接触するというのはどういうことだろう。
金属板にテスタを当てて調べてみると、板の表側と裏側は絶縁されており、一枚に見えていた金属板は、実は二枚の金属板と絶縁物が張り合わさったようなものだと思う。これが燃えると金属が歪むなり絶縁物が燃えるなりして、絶縁されていた二枚の金属板が接触し、同時に基板上の電極が通電してメロディが鳴り出すという仕組みだ。
絶縁されて張り合わせられた金属板が蝋燭の火で燃えると通電してメロディが鳴る...そんな発想はなかなか面白いと思ったが、どうもここのところが接触不良で、メロディが鳴らなかったらしい。あのいい加減な取り付けでは無理も無かろう。で、ICクリップで繋ぐと、思いっきり Happy Birthday To You が鳴るのだが、何だか虚しいね...
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